Tantum
Ergo
●歌詞はラテン語によるカトリック聖歌の一つで、詩の冒頭の語句がタイトルであって、
「大いなる秘跡」とはタイトルの単語そのもの「Tantum
ergo」の意味ではない。
※「tantum」:こんなにたくさんのもの 「ergo」:それゆえに
※「秘蹟=sacramento」:キリスト教で、キリストによって定められた恩恵を受ける手段・方法。
ローマ教会では秘跡、ギリシャ正教では機密と称し、7つある。
プロテスタントでは礼典または聖礼典と称し、洗礼と聖餐の2つだけ。(「広辞苑」より)
●曲は「モテット」と呼ばれる楽曲分類呼称の一つに属するものが多い。
※「モテット」とは(motet[英・仏],motetus[羅],motetto[伊],Motette[独])
mot(語)というフランス語に由来するモテットは、13世紀から近代にかけて行われた
ところの、主として教会的な比較的短い声楽系楽曲である。 一般には、16世紀頃
盛んであった詩篇などの聖書の言葉を歌詞とする無伴奏多声的合唱曲をさしているが
モテットの時代的変遷は相当に著しいものであるため、これを一律に定義つけてしまう
のは困難である。(「合唱事典」より)
●作曲者は極めて多く、下記に示すだけでははなはだ不十分と言えよう。
・M.Durufle ・W.A.Mozart
・G.Faure ・A.Bruckner
・F.Liszt ・L.H.Berlioz ・E.Chausson ・F.Schubert
・F.Schmitt ・Saint-Saens ・G.Rossini ・W.L.Webber
・A.Sandrold
・E.Elgar ・J.Langlais
●詩訳は訳者によって言葉使いが違い、「ラテン語辞典」で翻訳の翻訳を試みましたが、
私にはちんぷんかんぷんであります。よって2つの訳詞を例訳として示すにとどめます。
<詩> <例訳1> <例訳2>
Tantum ergo
Sacramentum. かくも奇しき秘跡のゆえに このように偉大な秘跡を
Veneremur cernui: われらひざまづきて崇めん
我々はひれ伏して拝む。
Et antiquum documentum
いにしえの儀式をとり去りて 古い教えは過ぎ去り
Novo cedat ritui:
新しき典礼を導き入れん。 新しい儀式が始まるように。
Praestet fides supplementum
願わくは至らざる[不完全]な 信仰がそれを補うように
われらが五感に
sensuum defectui.
信仰の支えをばあてがわん。 五感は役に立たないが。
Genitori
genitoque おん父とおん子に 御父と御子に
Laus et
jubilatio: 讃め歌と歓喜の声を 賛美と歓呼があるように。
Salus,honor,virtus quoque
救い、栄誉、力も 救いと誉れと力と
Sit et
benedictio: そして祝福あれ そして祝福もまたあるように。
Procedenti ab utroque
おんふた方より来る者[聖霊]も 両者から現れるもの(=聖霊)に
Compar sit
laudatio. また共に[同じく]讃えられてあれ。 等しい賛美がありますように。
Amen. アーメン。 然あれかし。
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